交通事故の治療では毎日通院した方がいい?通院頻度や毎日通院した場合のリスクを解説
交通事故に遭い、怪我を負った場合には、病院で治療を受けることになりますが、病院への通院は毎日した方がよいのでしょうか? この記事では、通院日数や頻度、毎日通院することのデメリットなどを紹介しています。 病院などへの通院日数・頻度にお悩みがある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
目次
交通事故にあった時、毎日通院していいのか何日くらい通院するのが一般的なのか、気になることはないでしょうか。
本記事では、交通事故にあった時は毎日通院した方がいいのか、通院日数と慰謝料の関係のポイントなどについて紹介していきます。
この記事を読むことで、交通事故にあった時の適切な通院頻度や毎日通院した場合のデメリット、整骨院(接骨院)を利用することの注意点が分かるでしょう。
ご興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
交通事故にあった時は毎日通院した方がいい?
交通事故にあってケガをしてしまったら、どの位の頻度で通院すればいいのか分からない、ということはないでしょうか。
ここでは、交通事故で通院する際にはどの程度の頻度で通院すればいいのか、適切な頻度や頻度が多すぎるとどうなるのか、といったことについて解説しています。毎日通院してもいいのか、それとも週何回かにした方がいいのか、見ていきましょう。
通院のペースは医師の指示に従う
交通事故でケガを負った場合、ケガの状態や経過によって必要な通院のペースは変わります。そのため、適切な通院ペースを保ちたい場合は医師の指示に従いましょう。
もし医師が毎日通院した方がいいと言っていたならば、毎日通院しても構いません。毎日通院しなければならないということを医師から告げられ、医学的・客観的にそのことを証明できれば、高い頻度の通院ペースでも問題はないでしょう。
通院頻度は3日に1回が目安
通院のペースは医師の指示に従うと解説しましたが、とくに医師からの指示がない場合、通院頻度は3日に1回程度が適切な通院ペースといえるでしょう。
これは通院のペースが高すぎても、低すぎても良くない、ということが理由です。通院するのはケガの治療のためであるため、治療が必要なタイミングでしっかり通院しているという事実が必要になります。
過剰通院にならないようにする
治療の必要がないと誤解されて治療を打ち切られないために足しげく病院に通院する人もいますが、場合によっては過剰通院と見なされてしまう可能性があります。
医師に毎日通院する必要がある、頻繁に通院する必要があると指示されていれば話は別です。しかしそうでないのに高い頻度で通院してしまうと、本来必要ではない治療をしていたのではないかと見なされ、慰謝料を減額されてしまう可能性があるのです。
過剰診療を疑われないように、過剰に通院することは避けましょう。
頻度が低すぎるのもよくない
交通事故でケガをしても、「大したことがない」「仕事が忙しいから」といった理由でなかなか通院しない場合がありますが、通院頻度が低すぎる場合も問題になります。
たとえば、月に1回といったように極端に通院頻度が低く、前回から通院間隔がかなりあいていた場合、保険会社がすでに必要な治療は終えている、あるいは被害者が治療に積極的ではないと判断してしまうため、治療費を打ち切られてしまう可能性があるでしょう。
しかし、もし医師の指示通りに通院した結果、通院頻度が低いと判断された場合は、そのことを保険会社に説明しましょう。
正当な理由がある時は毎日通院しても良い
交通事故でケガをした際の通院ペースは、過剰すぎても頻度が低すぎるのもよくありません。とはいえ、ケガの状態によっては医師に毎日通院するようにと指示される場合もあるでしょう。
正当な理由がある場合は、毎日通院することに問題はありません。毎日の通院が問題になる、過剰通院と見なされる可能性があるのは、医師の指示や正当な理由もないのに毎日通院した場合でしょう。
交通事故での通院日数と慰謝料の関係のポイント
交通事故での通院日数と慰謝料には、関係があります。
実際に、どのような関係があるのでしょうか。ここからは、交通事故での通院日数と慰謝料にはどんな関係があるのか、通院の長さによる慰謝料との関係や後遺障害認定への影響、毎日通院した場合や、整骨院(接骨院)を利用した場合の関係について解説していきます。
- 通院の長さによって慰謝料の額が変わる
- 通院の長さが後遺障害認定に影響する
- 慰謝料のために毎日通院した方がいいとは限らない
- 整骨院(接骨院)にかかる日数は通院になるとは限らない
通院の長さによって慰謝料の額が変わる
交通事故でケガをした場合、慰謝料がもらえます。この慰謝料の額は ケガの診断名や重症度でなく、通院期間の長さによって金額が変動するのです。この場合の慰謝料とは、「入通院慰謝料」のことです。
ケガが重症であっても1ヶ月の通院で完治し通院を止めた場合と、軽いケガだったけれど3ヶ月以上の通院になった場合とでは通院期間が違うため、通院日数が長い方が入通院慰謝料は高くなります。
通院の長さが後遺障害認定に影響する
通院の長さは入通院慰謝料の金額に直接影響しますが、「後遺障害認定」で受けられる「後遺障害慰謝料」については、通院の長さが間接的に影響します。
たとえば、むちうちなどは通院期間が後遺障害の認定に影響があり、「6か月以上」の通院治療が目安となっています。むちうちで後遺障害等級認定を受けたい場合、6か月以上通院していなければ認定される可能性が低くなる、ということです。
後遺障害慰謝料の金額に通院の長さは関係ありませんが、後遺障害そのものが認定されるかどうかには通院の長さが影響するため、間接的な影響はあるといえます。
慰謝料のために毎日通院した方がいいとは限らない
通院の長さは慰謝料の金額に直接影響すると解説してきました。しかし、慰謝料は通院回数・治療期間で計算するため、毎日通院しても通院期間が同じであれば、慰謝料の金額は増えないこともあるのです。
自賠責基準で1ヶ月の通院期間を例に挙げると、15日未満の通院回数であれば、通院回数が多いほど慰謝料の金額は増えます。しかし、1ヶ月の通院期間のうち15回以上の通院回数があった場合、通院回数が15回でも20回でも慰謝料の金額は変わりません。
また、任意保険基準や裁判基準の場合は、通院期間で慰謝料が算出されることが一般的となっているため、通院回数で慰謝料の金額に影響はありません。
整骨院(接骨院)にかかる日数は通院になるとは限らない
交通事故のケガで、病院(整形外科)以外に整骨院(接骨院)にかかることもあるでしょう。しかし、整骨院(接骨院)は病院ではないため、整骨院(接骨院)へ通うことは基本的に通院とは認められません。
ただ、医師による指示・許可があった場合は、通院として認められる可能性があるでしょう。
交通事故で毎日通院することにはデメリットもある
交通事故のケガで通院する際、通院回数は慰謝料の金額に直接影響します。しかし、毎日通院することにはデメリットもあるため、毎日通院することが必ずしも良いこととは言えません。
ここからは、毎日通院することのデメリットを解説します。毎日通院している場合、毎日通院ではなくても高い頻度で通院している場合はこちらに当てはまる可能性があるため、ぜひチェックしてみてください。
- 過剰治療として慰謝料が減額されるリスク
- 治療を長引かせる行為として打切りが早まる恐れ
- 示談交渉で揉めるリスクも
過剰治療として慰謝料が減額されるリスク
医師が必要と判断したならばともかく、自分の判断で毎日通院してしまうと、行き過ぎた通院として慰謝料が減額されるリスクがあることに注意しましょう。
もちろん、ケガの痛みが酷かったり医師による毎日通院の指示があったりする場合は別です。しかし、毎日通院することの医学的な理由や正当な理由がなかった場合は、必要でない治療を受けていたとされ、かかった治療費の自己負担を求められるリスクがあるのです。
自分の判断で毎日通院するようなことは避けましょう。
治療を長引かせる行為として打ち切りが早まる恐れ
毎日通院していると、毎日通院する必要があるのかどうかを問われることになります。そこで、しっかりとした毎日通院する理由がなかった場合、治療を長引かせる行為として認定されてしまい、早期に治療費が打ち切られてしまうリスクがあるでしょう。
とくに、交通事故と治療の因果関係を裏付けるための適切な検査を受けていない場合に漫然治療と見なされたり、検査結果にとくに問題がないのに毎日通院していた場合には、治療の必要性に疑問を持たれたりする可能性があります。
示談交渉で揉めるリスクも
毎日通院することには、のちのち示談交渉で揉めるリスクもあります。これは、毎日通院したことによって治療費が膨れ上がり、保険会社の支払いが増えてしまうことが原因でしょう。
損害賠償金が120万円を超えてしまった場合、このリスクが高まります。なぜかというと、示談金のうちこの120万円までは相手の自賠責保険から支払われるのに対して、それ以上の額は任意保険会社の支払いになるためです。
毎日通院することに正当な理由があったのか、任意保険会社と示談の際に揉める可能性が高くなるでしょう。
交通事故の慰謝料の計算方法は3つある
同じように交通事故にあい、同じようなケガをしたとしても、人によっては交通事故でもらえる慰謝料の額が違うということがあるでしょう。これは、交通事故の慰謝料の計算方法が3つあるためです。3つの計算方法のうちどれで慰謝料を計算したかで、もらえる慰謝料の金額が変わります。
ここからは、3つの計算方法を紹介していきます。
1:自賠責保険基準
自賠責保険基準というのは、自動車損害賠償保障法によって定められた基準のことです。
車に関する事故の場合、車に乗る人は自賠責保険に加入する義務が課されていることから、相手が任意保険に入っていなくても、最低限自賠責保険の補償を受けられるというシステムになっています。ただ、最低限の補償となっているため、額は多くはありません。
自賠責保険基準での慰謝料の計算方法は、「対象日数(治療期間または通院日数×2の少ない方)×4,300円」です。従って、慰謝料額は治療期間×4,300円を超えることはありません。
出典・参照:自動車損害賠償保障法|e-Gov法令検索サイト
2:任意保険基準
任意保険基準は、任意保険会社が慰謝料の支払い時に用いる基準のことです。
任意保険基準で慰謝料を請求する際の注意点は、基準がそれぞれの任意保険会社によって変わること、またその基準が公開されていないことです。以前は公開された統一の基準がありましたが、現在はその統一基準のままのところと、独自基準を設けたところがあります。
任意保険基準は公開されていませんが、基本的には自賠責保険基準と同等もしくはそれよりも多少多い程度、となっています。
3:裁判基準(弁護士基準)
裁判基準(弁護士基準)は、過去の似たような事例の判例を元に、弁護士や裁判所で用いられている基準です。「慰謝料算定表」があり、その算定表に沿った金額が慰謝料の額になるでしょう。
裁判基準は、慰謝料の3つの計算方法の中で慰謝料がもっとも高額になりやすいことが特徴です。ケガに対して正当性の高い慰謝料をもらえる基準でもあります。
ただ、裁判基準を使うためには弁護士に依頼したり裁判を起こしたりする必要があるため、多少ハードルが高くなっています。
整骨院(接骨院)に通う時の注意点
交通事故でしたケガに対して、病院(整形外科)の治療だけでなく整骨院(接骨院)も併用することがあります。その方がケガの治療に役立つためなのですが、この時、適切な慰謝料を得るために注意したほうがいいことがあるのです。
ここでは、整骨院(接骨院)に通う時の注意点を紹介していきます。ご興味がある方は、チェックしてみてください。
整骨院(接骨院)では診断書や後遺障害診断書を書いてもらえない
整骨院(接骨院)は、医療機関ではありません。診断書や後遺障害診断書の作成は医師にしかできないため、整骨院 (接骨院) のみに通院していた場合は書いてもらえず、困ることになる可能性があります。
診断書は交通事故とケガの因果関係を証明するため、後遺障害診断書は後遺障害等級認定を受けるために必要になる書類です。整骨院 (接骨院) だけでなく病院にも定期的に通院し、医師の診察も併せて受けておくことをおすすめします。
事前に医師の許可をもらっておく
整骨院(接骨院)へ通う際には、その前に医師に相談し、許可を得ておきましょう。もし医師に無断で通っていた場合、保険会社から整骨院 (接骨院) での治療の必要性が疑われ、治療費を支払ってもらえない可能性があるのです。
整骨院 (接骨院) は医療機関ではないので、そこでの治療は基本的に通院とは認められません。しかし、医師の許可や医師が必要性を認めていれば、保険会社も必要な治療であると認めてくれやすくなります。あらかじめ医師に相談して許可を得ておくことが大切です。
保険会社にも事前に連絡しておく
治療費や慰謝料を適切に支払ってもらえるか不安な場合は、あらかじめ保険会社に整骨院(接骨院)へ通うことを連絡しておくと良いでしょう。
最初に保険会社に治療を受けることを認めてもらえていれば、整骨院 (接骨院) へ通った日を通院として認められ、治療費や慰謝料を適切に支払ってもらえるようになります。
整骨院 (接骨院) へ通院する前に保険会社に連絡し、通院することを了解してもらっておきましょう。
病院への通院も継続する
整骨院(接骨院)へ通院する場合は、病院への通院も継続するようにしましょう。
もし整骨院 (接骨院) のみにしか通院せず、病院への通院を止めてしまった場合、保険会社から治療費の打ち切りを打診された時に、治療の必要性を訴えることが難しくなります。
医師の診断を受けるためにも、整骨院 (接骨院) への通院と同時に病院への通院も継続しておくことが大切です。
交通事故にあったら通院のペースは医師の指示に従おう
交通事故でケガをしたら、どの程度のペースで病院に通院すればいいのか分からないこともあるでしょう。そんな時は、医師の指示に従って通院することがおすすめです。
もし医師から特別な指示がなかったり、痛む場合は通院していいと言われたりしたような場合は、3日に1回程度が一般的な通院ペースとなります。整骨院 (接骨院) にも通院したい場合は、あらかじめ医師に相談して許可を得て、保険会社にも連絡しておくと安心でしょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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