交通事故の休業補償とは?計算方法や休業損害と併用できるのかも解説

交通事故で休業した際の休業補償について説明します。休業補償の計算方法や、請求の仕方も詳しく知ることができます。休業損害と呼ばれる、任意保険会社が交通事故の休業を補償する補償についても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 交通事故の休業補償について知識を持っておこう
  2. 交通事故の休業補償の基礎知識
  3. 交通事故で受け取れる休業補償の計算や請求の方法
  4. 交通事故の休業補償は休業損害と併用できる?
  5. 交通事故の休業補償で知っておきたいポイント
  6. 交通事故の休業補償の知識を深めて適正な補償を受けよう

交通事故の休業補償について知識を持っておこう

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突然の交通事故でケガをしてしまった場合、ケガの内容によっては仕事を休まなくてはいけないかもしれません。そのような時に受けられる保証が、休業補償です。

休業補償の種類や補償額の計算方法を理解して、万が一の交通事故での休業した場合に対応できるようにしましょう。また申請方法や、知っておくべきポイントも詳しく解説していきます。

交通事故の休業補償の基礎知識

交通事故の休業補償とは?

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交通事故での休業を補償される種類は、2種類存在します。休業補償と休業損害です。休業補償とは交通事故のケガが原因で、仕事を休まなくてはいけない時に補償してくれるものです。仕事を交通事故のケガで長期休んでしまった場合に、収入が減ってしまいます。

それに対して補償されます。厚生労働省が管轄する労災保険で補償されるものを休業補償と呼び、国土交通省が管理する自賠責保険や相手方の任意保険での補償を休業損害と呼んでいます。

休業補償を受け取るには休業損害証明書が必要

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交通事故による休業補償を受け取るためには、証明書を用意する必要があります。休業損害証明書と呼ばれるものです。この証明書は相手方の任意保険会社から送付されてきます。

会社に勤務している場合は、勤務先に書類の記入をお願いしてもらいます。また自営業の場合は自分で書類を記入する必要があります。

証明書の書き方次第で、補償額が変わってきますのでしっかり記入するようにしましょう。場合によっては源泉徴収票などの提出が求められる場合もあります。

休業補償と休業損害の違い

休業補償

休業損害

請求先

労災保険

自賠責保険

任意保険会社

対象事故

勤務中や通勤中の事故

人身事故全般

対象者

会社員・アルバイト・パート

会社員・アルバイト・パート

専業主婦・一部の無職者

有休休暇

補償対象外

補償対象

過失相殺・上限

なし

自賠責保険の支払い分のみあり

同じ交通事故が原因の休業に対しての保証でも、休業補償と休業損害では違いあります。請求先や対象者など、細かく内容が違うので、しっかりと確認しておきましょう。

交通事故で受け取れる休業補償の計算や請求の方法

休業補償の計算方法

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補償額の計算式は、交通事故が原因で休業した日数×1日あたりの基礎収入額となります。自賠責保険の場合は、原則1日5,700円が基礎収入額となります。仮に5,700円以上の場合は立証できれば、19,000円まで増額できます。

また自賠責は慰謝料・治療費・休業補償すべての賠償金を含め、合計金額は120万円となっています。休業補償が多額すぎて、治療費などがもらえない場合もあるので合計金額に注意しましょう。

休業補償の請求方法

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休業補償の請求方法は、最初に労働基準監督庁宛てに請求書を送ります。請求書の内容が認められると、厚生労働本省から補償額の支給決定通知や、支払いの通知が一緒に届きます。

自分が指定した口座に、支払い通知どおりの休業補償額が支払われる流れです。注意すべきなのは、申請してから振込まで約1ヶ月かかるということです。早めに補償額が欲しい場合は、早めに申請するようにしましょう。

休業補償を受け取れる期間

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休業補償はいつまで受け取れるかというと、原則交通事故で負ったケガが治るまでが最長です。仮に交通事故で負ったケガが1年半経過しても治らなかった場合は、傷病等級に該当する場合があります。

傷病等級に該当して場合は、休業補償でなく代わりに傷病補償の支給に変更されます。該当しなかった場合は、引き続き休業補償が支払われる流れです。

休業補償とは別の休業特別支給金も受け取れる

休業補償とは別に、休業特別支給金という補償があります。これは休業補償とは別に労災保険からもらえる金額です。

休業特別支給金の計算は、以下のようになります。休業4日以降の際休業1日につき給付の基礎日額の20%相当の金額が、もらえます。

休業特別支給金は、交通事故のケガを療養する為の援護金としての役目を果たしています。そのため休業補償に加えて、休業特別支給金も受け取ることができるのです。

出典:特別支給金(厚生労働省神奈川労働局)

交通事故の休業補償は休業損害と併用できる?

休業補償と休業損害は併用が可能

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休業補償が認められる場合は、休業損害も請求することができます。2つの補償を受けられるため、交通事故に対しての補償をより多く受けることができます。

休業補償には補償額に上限があるので、仮に治療費などに多額の金額が必要になった場合に両方請求することができます。休業補償を受けられる場合は、休業損害も請求するようにしましょう。

休業補償と休業損害の重複部分は相殺される

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休業補償と休業損害は、どちらも交通事故で休業した際の減収を補償するものです。そのため両方に請求した際、2重の減収に対しての補償をうけてしまうことになります。

事前に自分で補償金額を計算される際には、注意する必要があります。この重複の部分は相殺された、両方の合計金額が補償額となるので覚えておきましょう。

休業特別給付金は相殺されない

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休業特別給付金は、労災福祉を目的とした労災の独自の給付金制度です。休業損害には、そのような補償は含まれていません。そのため休業損害と同じ補償内容のものではないので、相殺されず、足した金額が補償額となります。

両方の保険に請求をすることで、休業補償で基礎収入日額の最大全てを受け取ることができ、休業保険で基礎収入日額の2割が受け取ることができます。つまり合計120%分を請求することができるかもしれないのです。

休業補償と休業損害の両方を請求する方法

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休業補償は、労災保険に手続きを行います。休業損害は、交通事故加害者の任意保険会社に休業損害証明書を提出することで、支払ってもらうことが可能です。

どちらを先に手続きするかは決まっていません。しかし補償の重複部分の相殺をすることを考えて、自動車保険への手続きを先にすることをおすすめします。

交通事故の休業補償で知っておきたいポイント

ポイント①休業補償を先払いしてもらえる制度がある

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仮渡金という制度を使うと、休業補償を一部先払いしてもらうことも可能です。急な交通事故で当面の生活費や治療費に困ってしまう場合などに、利用すると安心して治療に専念することができます。

ただし、仮渡金には上限額があります。そのため希望金額を全額先払いしてもらえるわけではないので、注意が必要です。

ポイント②休業補償期間中に調査が入ることがある

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休業補償期間中に、調査員が調査をする場合もあります。調査目的は、正確な現状を把握するためです。調査する内容としては、会社員であれば勤務先に行き、実際の休業状況を確認します。

休業損害は任意保険会社が支払うため、休業期間が長くなれば保険会社の負担も増えます。そのため、保険会社の調査員が現状を確認することで、負担額を正確に把握するためです。

ポイント③保険会社から休業補償を打ち切られるケース

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保険会社から休業補償を打ち切りになる場合もあります。いくつかの多い交通事故でのケガを例に目安期間を紹介していきます。

打撲した場合は1ヶ月程度、むち打ちの場合は3カ月程度、骨折の場合は半年程度が目安となります。むちうちは交通事故によるケガで一番多い症状です。症状にもよりますが、休業補償期間は3カ月前後で終わると考えておきましょう。

ポイント④有給休暇取得日は休業補償の対象外

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交通事故のケガに対しての治療をするため、有給休暇を取得した場合は注意が必要です。休業損害の場合には有給休暇取得日も補償対象になります。その一方休業補償の場合は、有給休暇取得日は補償対象外となります。

労働基準法76条には、休業補償は3つの条件を満たすことが必須です。1つ目は業務上の事由または、通勤による負傷や疾病による療養のための場合です。2つ目は労働することができない場合で、3つ目は賃金を受けていない状態を指します。

有給休暇は3つ目の条件を満たしていないため、休業補償の対象外となります。休業損害と休業補償によって、補償対象が変わるので覚えておきましょう。

出典元:労働基準法76条(e-Gov法令検索)

交通事故の休業補償の知識を深めて適正な補償を受けよう

交通事故でケガを負ってしまった際に、受けられる休業補償を知っているとその後の対応も安心です。交通事故のケガの治療に専念することができます。また、不安な場合には弁護士に相談することもできます。

休業補償と休業損害のそれぞれの特徴や補償内容をしっかりと理解しておきましょう。また申請方法や補償額の計算方法なども学んでおくことも重要です。これにより、万が一交通事故でケガをした場合にも、スムーズにやり取りすることが可能になります。

この記事のライター

うり200

フリーライター兼イラストレーターとして活動。

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