むちうちの安静期間はどのくらい?症状が長引く場合の対処法も紹介
むちうち症になった場合、安静の仕方や期間、さらに生活に支障が出たときに不安を覚えてしまう人もいるでしょう。本記事ではむちうち症の基礎知識に加え、安静の仕方や期間、むちうち症が生活に影響を与えている場合の対処方法などについて紹介します。ぜひ、参考にしてください。
目次
「むちうち症になった場合、安静にしないといけないの?」
「むちうち症が長引いて、生活に支障が出てる」
交通事故やスポーツなどでむちうち症になった際に、安静期間や生活に支障が出た場合の補償などについて不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、はじめにむちうち症について、次にむちうち症の安静期間や安静にする理由について紹介していきます。そして記事の後半では、むちうち症が生活に支障をきたしてしまった場合などについて解説していきます。
この記事を読むことで、むちうち症に関する知識を深めることができるため、安心して安静期間を過ごすことができるでしょう。むちうち症について詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
むちうちの症状とは?
スポーツや自動車での追突事故、あるいは高いところから落ちた場合などに、首の痛みやしびれ、吐き気などを経験した人もいるのではないでしょうか。
このとき、多くの人が「むちうち症」になったと考えますが、実はこの「むちうち症」は医学的な傷病名ではありません。「むちうち症」とは頚椎に激しい衝撃が加わることによって、頚椎がまるで鞭のようにしなることで起きる頸部外傷の局所症状の総称になるのです。
また、「むちうち症」の主な症状には首の痛みやしびれ、頭痛やめまい、吐き気、顎間接の痛みなどが挙げられます。
出典・参照: 「むち打ち症」|公益社団法人 日本整形外科学会
むちうちの安静期間はどのくらい?
「むちうち症」は頚部外傷によって引き起こされる症状ですが、その原因や外傷程度によって現れる症状は様々です。そのため、治療にかかる期間や安静期間はケースバイケースになることが多くなっています。
一般的な軽症例の安静期間は数日~1週間程度、また平均的な治療期間は2~3か月程度といわれています。
出典・参照:「むち打ち症」|公益社団法人 日本整形外科学会
出典・参照: むちうち(頸椎捻挫) |医療法人全医会 あいちせぼね病院
むちうちで安静にしなければならない理由
むちうち症では、症状が出てから数日の間は体の状態に留意して安静にしましょう。むちうちで主に損傷を受ける頸部の椎間関節は首の奥にあるため、炎症の兆候が分かりにくいからです。
損傷を受けた頸部は、その部位を保護するために固くなり、動かしづらくなります。しかし、炎症による発赤や膨張を感じにくいことで誤って動かしてしまい、損傷を悪化させてしまうおそれがあります。
以下では、むちうち症の「初期対応」と「安静」について詳しくみていきましょう。
安静とはどのような状態?
むちうちで病院を受診した際に、医師から「数日間は安静にしてください」といわれることがあります。しかしながら、この「安静」とは実際にどのような状態なのかを明確に理解している人は少ないのではないでしょうか。
「安静」とは、一般的に体を横にして、心臓や肺などの筋肉にかかる負担を抑えた状態のことです。体を横たえることで、心身共にリラックスした状態にもなります。また、 初期対応としてはできる限り固定具などで固定し、首が体幹に対してねじれないようにします。
医師から安静にしてくだいと言われた場合には、できる限り体を横にしてリラックスし、首をねじらないように過ごすようにしましょう。
安静期間が過ぎても治らない時の対処法
交通事故やスポーツなどでむちうち症になった場合、安静期間を過ぎても症状が改善されないケースもあります。
以下では、安静期間後の対処方法について紹介していきます。ただし、改善されないときの対処方法については自己判断ではなく、最初に受診した病院の医師に相談しながら行うようにしましょう。
痛み止めを服用する
安静期間を過ぎても痛みが引かない場合、医師に相談して消炎鎮痛剤や頭痛薬を処方してもらうとよいでしょう。
また、薬を内服している間は、痛みが和らぐため普段通りの生活を送ってしまいやすいものです。薬の効果によることを忘れず、首に負担をかけ過ぎないようにしてください。
湿布を貼る
むちうち症による頸部やその周辺の痛みが取れない際には、湿布を使用してみましょう。湿布には、張付面に抗炎症剤が含まれており、むちうちによる炎症を和らげることが期待できます。
ただし、湿布にも副作用が現れる可能性があるため、使用するときには医師の指示のもとで用法用量を守るようにしてください。
医療機関を受診する
安静期間を過ぎても症状が改善されない場合は、無理をせずに医療機関を受診してください。
むちうち症は、受傷原因や外傷程度によって症状が様々であり、またその治療の方法や期間も個人差があります。
そのため、治療は医師から完治や症状固定(今後治療を継続しても改善が望めない )を告げられるまで、定期的に受けるようにましょう。
出典・参照: 「むち打ち症」|公益社団法人 日本整形外科学会
むちうちの安静期間で生活に支障をきたした場合
通勤中や仕事中の事故などによりむちうち症になった場合、安静期間の長期化や受傷の症状が重くなることで日常生活に支障をきたしてしまうケースがあります。その結果、仕事がままならなくなり、収入が減ってしまう可能性もあるのです。
こうした事故による収入の減少をカバーするために役立つのが、「休業補償」と「休業損害」の2つの補償になります。
以下では、これらの補償の特徴とその違い、また請求方法について紹介していきます。ぜひ、チェックしてみてください。
出典・参照: 交通事故の「休業損害」と「休業補償」の違い|自賠責保険と労災保険について| 弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所
休業補償と休業損害の違い
「休業補償」と「休業損害」の大きな違いは、基になる保険の種類です。休業補償は、「労災保険」から支払われる補償になり、その一方で休業損害は「自賠責保険」から受け取る補償になります。
それぞれの補償についてみていくと、まず「休業補償」とは業務上あるいは通勤中の事故や災害により怪我を負い(労働災害)、働くことができなくなった場合に給与の代わりに支払われる補償です。
また、休業補償を受けるためには、以下の支給要件を全て満たさなければなりません。
・業務上の事由、あるいは通勤によって負った怪我や疾病のための療養
・働くことができない
・給与を受けていない
一方、「休業損害」とは、交通事故に遭った被害者が負傷したことで、治癒あるいは症状固定までの期間に働くことができず、その結果として収入が減少してしまう損害のことを指しています。
また、この休業損害の場合、支払われる補償の額に上限が設定されていることや、3か月程度で補償が打ち切られるケースが多いことに留意しておきましょう。
出典・参照: 交通事故の「休業損害」と「休業補償」の違い|自賠責保険と労災保険について| 弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所
出典・参照:休業補償について知りたい方|ベリーベスト法律事務所
出典・参照: 休業に関する損害(休業損害) |アディーレ法律事務所
休業損害(休業補償)を請求する
基になる保険が違うため「休業損害」と「休業補償」では、その請求方法や請求者などにも違いがあります。
「休業損害」では交通事故に遭った被害者が、加害者が加入している自賠責保険会社に対して休業損害の請求を行います。このとき、事故当初から保険会社が対応している場合には、休業損害の請求手続きも進めてくれるケースがあるため確認しておくとよいでしょう。
また、休業損害の請求で必要になる「休業損害証明書」は被害者自身が書くのではなく、被害者の勤務先が作成する必要があります。
一方で、「休業補償」の請求手続きは被災した従業員や遺族が行います。このとき、療養のために手続きができない場合には事業者が代行することも可能です。
また、休業補償の請求を行う際には、 労災の内容に応じて「休業補償給付支給請求書(8号) 」あるいは、「 休業給付支給請求書(16号の6) 」のいずれかの書類を所轄の労働基準監督署に提出してください。
このように「休業損害」と「休業補償」では請求方法や必要書類の作成も異なります。そのため、どちらの補償でも選べる場合(例:業務中や通勤中の交通事故など)には、自身の状態や手続きのしやすさなど状況に合わせて、より有利な方を選択するようにしましょう。
出典・参照: 休業損害証明書の書き方を解説! 適正な補償を得るためにすべきこと|ベリーベスト法律事務所
出典・参照:労災の申請手続きの流れをチェック!注意点や必要書類も確認|神奈川県福祉共済協同組合
出典・参照: 交通事故の「休業損害」と「休業補償」の違い|自賠責保険と労災保険について| 弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所
家事・育児でも休業損害が受けられる
「休業損害」は、交通事故の被害者が受けた損害に対する補償になります。そのため、休業損害は、実質的な収入がない家事・育児従事者も補償を受けることが可能です。
ただし、専業主婦(主夫)の休業損害は、原則的に「賃金センサス(「賃金構造基本統計調査」の結果に基づき、労働者の性別や年齢、学歴など別に、平均収入をまとめた資料)」における女性労働者の全年齢平均給与額、あるいは年齢別平均給与額をベースに算出されています。
一方で、「休業補償」は労災保険に加入している事業者に雇用されている人に対して、支払われる補償になります。そのため、事業者に雇用されていない専業主婦(主夫)は、休業補償を受けることができません。
専業主婦は休業補償を受けることはできませんが、休業損害については受けることができます。必要な場合には、きちんと休業損害を申請し、また保険会社から提示された補償内容についても確認しておきましょう。
出典・参照: 休業に関する損害(休業損害) |アディーレ法律事務所
出典・参照:交通事故の「休業損害」と「休業補償」の違い|自賠責保険と労災保険について|弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所
半年以上症状が長引く場合は後遺障害等級の認定を受ける
交通事故による「むちうち症」の症状が半年以上続く場合、医師から症状固定と判断され、自賠責保険による治療が終了します。このとき、残る症状を後遺障害として認定し、健康保険による治療へと移っていきます。
後遺障害に認定された場合、その障害に応じて「14級(14級9号)」、あるいは「12級(12級13号)」かを判断され、損害賠償請求額(後遺障害慰謝料や労働能力逸失利益、入通院慰謝料)が算出されるのです。
どちらの等級になるのかは神経学的検査や医学的所見から判断されますが、その結果に対して異議がある場合には異議申し立てを行い、再審査を行うことも可能です。その際には、むちうち症の後遺障害認定に詳しい法律の専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。
むちうちの安静期間は無理をせずに過ごそう
本記事では、交通事故やスポーツなどで起きる「むちうち症」について詳しく紹介してきました。むちうち症といっても、その原因や外傷程度による症状は様々あるため、治療の方法や期間は個人差があります。
一般的な軽度のむちうち症であっても、受傷した日から数日~1週間程度は安静することをおすすめします。
むちうち症になった場合は、医師の判断を仰ぎながら無理をせずに生活を送るようにしましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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