むちうちの原因はレントゲンでわかる?症状や他の検査についても解説
むちうちの症状が出た時に、レントゲンで異常が見つからなかった経験はありませんか。この記事では、むちうちの症状やレントゲン以外の検査の種類、病院の選び方から、留意点について説明しています。正しい知識を習得し理解を深めて、適切な対応ができるようになりましょう。
目次
交通事故でむちうちの症状が出た場合の対処方法に不安を感じている人はいませんか。
むちうちは本人に自覚症状があっても、客観的にどのような症状があるのか、どの程度の症状が残っているのかといった判断が難しい怪我です。
このため、治療費の支払いで加害者側の保険会社と揉めるケースもあります。 この記事では、事故後にむちうち症状が出た場合の留意点や、実際にどのような検査や治療方法があるのか、その内容を説明しています。
また、症状に応じてどの医療機関に通うべきか、後々、後遺障害認定を受けるためにどのような手順を踏む必要があるのか、詳しく説明していますので参考にしてください。
この記事を読めば、交通事故でむちうちの症状が出た場合の適切な対処方法を理解し、自分がそのような状況に置かれた時に、落ち着いて行動できるようになるでしょう。
むちうちの症状が出た場合の留意点やポイントを正しく理解し、不測の事故に遭った時に、冷静に対応できるようになりましょう。
むちうちの原因はレントゲンでわかるの?
交通事故で首に強い力が加わると、むちうちになります。むちうちになると、耳鳴りや痺れなどの症状があらわれます。
整形外科で行なわれるレントゲン検査は、主に骨折や、筋・骨格系の異常の有無を調べるもので、交通事故でむちうちの症状が出ている場合レントゲンでの検査は必要です。
しかし、必ずしもレントゲン検査でむちうち症状の原因が判断できるわけではありませんので、症状に応じてレントゲン以外の検査も必要となります。
そもそもむちうちとは
むちうち症は、交通事故の追突や衝突などによって起こる頚部外傷の局所症状の総称です。元々は自動車にヘッドレストが標準装備されていなかった時代に衝突時の衝撃で首がむちのようにしなった様子からこのような呼称がつきました。
現在はヘッドレストが標準装備されているためむちうち症の表現は使われなくなってきていますが、難しい医学的な傷病名より分かりやすいことから、交通事故に関する会話ではよく耳にする言葉です。
むちうちの原因と主な症状
むちうちの原因の多くは、交通事故や転倒によるものです。また、他人と強くぶつかり合うスポーツや、転倒しやすいウインタースポーツもむちうちになる可能性があります。
むちうちの症状は、交通事故や転倒直後だけではなく、2~3日経過してからあらわれることも少なくありません。また、交通事故後はパニック状態に陥るため、症状を感じにくい人も多いでしょう。
むちうちの症状は、首の痛みだけではなく、手足のしびれや頭痛などさまざまです。他にも、眠れなくなり、うつ状態になる可能性も出てきます。
むちうちがレントゲンで異常なしとなる場合が多い理由
MRI検査やレントゲン画像による検査では異常がないが、実際にむちうちの症状は出ている、このような事例が多く見られるのがむちうちの特徴といえます。むしろ、むちうちの場合は、レントゲンなどの画像検査では異常が見つからないことが多いのです。
しかし、むちうちが疑われる状況では、骨折など骨に異常がある可能性も考えなくてはいけません。このため、レントゲンは単にむちうちだけではなく、骨の異常の有無を確認する意味合いもあります。
レントゲンで異常がなかった場合の通院先
レントゲンやMRIなどの検査で異常が見つからず、実際にむちうちの症状がある場合、整骨院や接骨院を利用することが有効なこともあります。
ただし、整骨院・接骨院で、むちうちの施術が終わった後に、保険会社との示談交渉で支払いを拒否される場合があるため注意が必要です。整形外科の診察を受け、医師の指示に従って整骨院・接骨院での施術を受けるようにしましょう。
整骨院や接骨院
整形外科でしかできないMRI検査やレントゲン撮影で異常が見つからなかった場合の通院先として、整骨院や接骨院があげられます。
ただし、確実に治療費を確保するために、最初に整形外科に行き医師の指示を仰ぐことと、相手の保険会社に伝えてから行くようにしましょう。また、整骨院や接骨院に通う許可を医師から得た後も継続的に整形外科に通院する必要があります。継続して治療を行う必要性が認められなくなるおそれがあるためで、整骨院や接骨院と併用して整形外科にも通うようにしましょう。
整形外科
むちうち、頸椎捻挫などの診断をされた場合は、治療を整形外科で受けるのが一般的です。これは、治療が終わった後に後遺障害診断書(自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書)を作成できるのが医師のみで、治療のための医療行為は整形外科等の医師のみが行えることが理由です。
後遺障害診断書は、治療が終わった時に後遺症が残った場合に後遺障害認定のために医師に作成してもらう書類で、この書類の有無が賠償額に大きく影響します。
積極的にリハビリを行なっている整形外科も多くあり、主に運動療法と物理療法があります。ストレッチや局所の筋力訓練やストレッチを行うのが運動療法です。一方、牽引、温熱、電気などを駆使して物理的な刺激を体外から与え、筋緊張の緩和を目指すのが物理療法です。
出典・参照:交通事故にあったら毎日通院した方がいい?慰謝料の観点から弁護士がお答え | アトム法律事務所弁護士法人
出典・参照:後遺障害について|弁護士法人心 名古屋法律事務所
むちうちのレントゲン以外の検査内容
整形外科のレントゲン検査では骨の異常しか診断できません。むちうちの症状で、レントゲン検査を行い「異常なし」とされた場合は、「骨には異常がない」と診断されたことを意味します。
レントゲンで異常がないことが確認された場合、原因や症状によって、レントゲンの他にどのような検査があるのかを見ていきましょう。
MRI検査・CT検査
CT検査では、コンピューターによって横断面の画像を作り出します。脳挫傷などの検査でよく用いられますが、偽像が出る可能性があるため、注意が必要です。
MRI検査は、電磁波によって体内にある水素原子核の反応を映像化します。MRI検査では、X線を使用しないため、身体への心配はありません。MRI検査は、横断面だけでなく、断面層の映像化が可能です。
スパーリングテスト
むちうちになった場合は、スパーリングテストが行われます。スパーリングテストは、神経学テストのひとつで、神経根障害について調べる検査です。
スパーリングテストは、患者の頭部に手を置き、医師が痛みやしびれがある側に頭を傾けます。最初は軽く傾け、2回目以降は強く圧迫します。痛みがある場合は陽性、痛みが出ない場合は陰性です。
腱反射テスト
脊髄や末梢神経障害が疑われる場合は、深部腱反射テストを行います。深部腱反射テストは、患者のアキレス腱をゴムハンマーで叩いて反応を見る検査です。
大脳や脊髄に異常がある場合は、ゴムハンマーで叩くと強く反応が出ます。反応が弱ければ、末梢神経に異常なしと判断できます。
筋萎縮検査
筋萎縮テストは、筋肉の萎縮の有無を確認する検査です。むちうちによって腕が麻痺すると、筋肉が萎縮する可能性が出てきます。
筋萎縮テストでは、両ひじの関節の上下10cmの部分を計測し、計測した部分が極端に細い場合は、筋が委縮していると診断されます。
筋萎縮テストは、患者の主観や精神状態に左右されません。そのため、客観性が高いテストとなり、有効な他覚的所見といえるでしょう。
その他の検査
むちうちが疑われる場合は、両手の握力を計測する握力テストや、筋肉の電気活動を測定する筋電図検査が行われます。他にも、頭部に下方圧迫を加えるジャクソンテストも実施されます。むちうちの症状によって、実施される検査が異なるため、必要な検査を受けておきましょう。
むちうちでレントゲン以外の検査が必要な理由
むちうちの症状はさまざまで、痛みや痺れ、吐き気、耳鳴りなど多くの症状が報告されています。また、必ず事故直後に発症するわけではなく、数日経過してから発症する場合もあることがむちうちの特徴です。
このように、客観的に症状の有無、痺れや感覚異常の程度の判断が難しいことから、障害が残った場合の後遺障害等級認定を行う目的と、実際の原因や症状に合った適切な治療を行うためにも、レントゲン以外の検査が必要となります。
出典・参照:むちうち症について | 東野整形外科医院
後遺障害等級認定のため
むちうちになり、整形外科や整骨院・接骨院で治療を続けたにもかかわらず、しびれや麻痺などが改善されないケースも少なくありません。このような後遺症が残った場合は、後遺障害等級に認定される可能性があります。
むちうちの場合、後遺障害12級13号もしくは14級9号に認定されることが多いです。12級13号の認定を受けるためには、MRI検査を受けなければなりません。
レントゲン検査で異常なしと診断された場合であっても、MRI検査で画像上の根拠が証明されれば、12級13号に認定されます。
出典・参照:後遺障害等級表 | 国土交通省
痺れや感覚異常の原因を調べるため
痺れや感覚異常の原因を調べるためにも、レントゲン以外の検査が必要です。すぐには緩和されない痺れがある場合や、手足に感覚異常がある場合は、椎間板のヘルニアが疑われます。
そのため、MRI検査で椎間板の状態を確認しておきましょう。痺れや感覚異常の詳しい原因が分かると、治療も進めやすくなります。
むちうちになった際の注意点
交通事故に遭遇したら、なるべく早く整形外科を受診してください。また、後遺障害等級認定で、レントゲンでは異常なしと判断された場合、MRI検査の結果が必要です。
通院先にMRIがない場合は、MRIのある病院へ転院してください。転院する際は、医師へ紹介状の作成を依頼しましょう。紹介状がない場合、交通事故の相手側の保険会社から治療費が支払われない可能性があるため、注意が必要です。
レントゲンや他の検査でむちうちの原因を知り治療をしよう
むちうちの原因は、レントゲン検査だけでは分からないことが多いです。そのため、むちうちになった場合、レントゲンだけでなくMRIやスパーリングテストなどの検査が必要です。詳しい検査を受けて、痺れや感覚異常の原因を明確にした上で、適切な治療を受けましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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