免責証書とは?書き方やサインする際の注意点についても解説!

保険会社が発行する、交通事故の免責証書について詳しく解説します。免責証書と示談金額の関係を説明!また、最終的なサインの前に、どのような点を弁護士に相談するすべきかも合わせて紹介します。ポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

免責証書とは?書き方やサインする際の注意点についても解説!

目次

  1. 免責証書の書き方やサインする際の注意点を解説
  2. 免責証書の内容と示談書との違い
  3. 免責証書の発行元と効力
  4. 免責証書にサインする際の注意点
  5. 免責証書について弁護士に相談するメリット
  6. 免責証書の内容をしっかり確認してからサインしよう!

免責証書の書き方やサインする際の注意点を解説

書類にサインする男性の手元
cytonn_photography Unsplash

免責証書は、交通事故の加害者と示談交渉が終わった後で、被害者側が記入する書類の一つです。免責証書にサインすることで、示談についての処理は完了となりますが、証書内の記載内容にはいくつかの注意すべき点もあります。

免責証書に記載されているのはどんな内容なのか、サインする時に確認が必要なのは証書のどの部分なのかをみていきましょう。

免責証書の内容と示談書との違い

免責証書のほかにも、交通事故の示談の場面において作成される書類として、承諾書や示談書と呼ばれるものがあります。まずは、免責証書と承諾書、示談書の違いを解説します。

免責証書とは?

書類に必要事項を記入する男性
Herm

免責証書とは、加害者が交通事故の被害者に支払う賠償金の金額や、責任の内容を記載し、それ以外の責任の免除を認める証書です。人身損害の示談や、過失割合が100:0の交通事故において、加害者側の保険会社が作成します。

免責証書は、被害者側が署名捺印するだけで作成が完了するため、書類のやり取りが早めに完了することが特徴です。署名捺印した免責証書は、被害者と加害者の双方で一部ずつ保管します。これは、解決内容に対する後々のトラブルを回避することが目的です。

免責証書の書き方

証書にサインする男性の手元
Sozavisimost

免責証書は、交通事故に関するいくつかの情報で構成されています。主な項目は以下のとおりです。

  1. 加害者(当事者甲)の氏名
  2. 交通事故の発生日時・場所
  3. 加害者及び被害者(当事者乙)の車両所有者名、運転者名、車両登録番号、被害物
  4. 賠償金総額
  5. 被害者側の署名
  6. 賠償金振込先の口座番号

保険会社を通じた示談であれば、免責証書のうち、被害者の署名欄以外は保険会社側が記入した状態で作成しています。証書の内容のうち、2の交通事故の発生日時や場所は、交通事故証明書があればその内容を転記したものです。

交通事故の加害者・被害者双方が、免責証書に記載された内容を確認したのち、被害者が署名捺印することで、証書が有効になります。

被害物の所有者が運転者とは別の人であった場合は、署名捺印を行うのは被害物の所有者です。なお、被害者が未成年であれば、免責証書への記入は親権者が行ってください。

保険を使う場合には、通常、保険会社の担当者が用意します。ご自身で用意いただく必要はありません。

後日のトラブルを防ぐために、署名・捺印した免責証書を当事者が一部ずつ保管します。

出典: www.sonysonpo.co.jp

承諾書や示談書との違い

書類にサインする女性
olia danilevich Pexels

免責証書は、承諾書や示談書とどのような違いがあるのでしょうか。実は、承諾書も示談書も保険金を支払うことで交通事故に関する一切を終了させるという役割は、免責証書と同じです。

ではどこが違うのかというと、承諾書は記載された金額の損害賠償金で、交通事故を終了することを被害者の意思のみで通告するものです。承諾書には、加害者の署名や意思表示は不要です。

一方示談書は、被害者だけでなく、加害者も署名・捺印を行います。これは、損害賠償金の支払い義務をはじめとした、交通事故に関する責任を加害者が持つという意味です。

免責証書の発行元と効力

免責証書は誰が発行し、交通事故後のどの段階から効力を発揮するのでしょうか。免責証書の発行についてみていきましょう。

免責証書は保険会社が発行する

事故の箇所を検分する保険会社の調書
stevepb

免責証書は、交通事故の加害者側の保険会社が発行するのが一般的です。発行のタイミングは、示談交渉で被害者と加害者の間で同意ができた時点になります。

保険会社では、示談の結果を踏まえて示談金計算書とともに免責証書を作成し、被害者側に送付します。被害者が免責証書の内容を確認し、署名・捺印をして返送すれば、保険会社に到着後1~2週間後をめどに、指定した口座に示談金が振り込まれます。

免責証書の効力

昔ながらの赤いポスト
PublicDomainPictures

免責証書の効力は、被害者が証書に署名捺印し、加害者側の保険会社に届いた時点で発効します。加害者側の保険会社は、免責証書の内容を確認したら、その記載内容に基づいた金額の賠償金を、被害者の口座に振り込みます。

免責証書にサインする際の注意点

免責証書にサインや署名・捺印をする時には、いくつかの注意点があります。内容をよく確認し、納得ができてからサインすべきでしょう。以下に、注意点を4点挙げていきます。

注意点①事故の記載に間違いがないか

ワンボックスカーに衝突したトラック
jsptoa

免責証書にサインする時にまず注意すべきは、交通事故の記載内容が事実と違っていないかどうかということです。免責証書に記載されている交通事故の発生日時や場所、自分と加害者の車両の情報が正しいかを確認してください。誤った内容が記載された免責証書は無効です。

警察が発行する交通事故証明書がある場合は、保険会社はそれを元に免責証書を作成します。交通事故証明書は、自分でも警察に交通事故の届け出をしておけば、後日送付されるので、なるべく入手しておきましょう。

注意点②示談金額の確認

紙幣を数える男性
cottonbro Pexels

免責証書には、被害者に対して保険会社が支払う示談金額を記載する欄があります。示談交渉で、保険会社と最終的に合意した金額とずれがないかを再確認しましょう。

免責証書を作成する保険会社は、加害者側として示談金を支払う立場です。場合によっては、不当に安い金額を記載してくる可能性もあります。これは、保険会社が示談金の計算を自社の独自基準で行っているためです。

注意点③賠償金額は適正価格か

電卓とパソコンで計算する女性
Firmbee

また、免責証書に記載された賠償金額が、自分が受けた被害に見合った金額であるかどうかも確認すべきです。保険会社によっては、自社独自の算定式に基づいた、本来の相場よりも低い金額を免責証書に記載する会社もあります。

しかし、賠償金額の相場はさまざまな要因が絡んできます。場合によってはサインの前に、弁護士に相談するのも一つの方法です。弁護士を立てることで、裁判所基準に基づいた、より高額な賠償金となる可能性もあります。

注意点④口座番号に間違いがないか

ATMを操作する人の手元
Peggy_Marco

免責証書には、自分の署名・捺印欄のほかに、賠償金の振込先となる口座番号を記入する欄があります。通帳やクレジットカードなどを見ながら、金融機関名や支店名、口座の種類、口座番号、口座名義人を間違わないように記入してください。

免責証書について弁護士に相談するメリット

免責証書に署名・捺印をする前に、その内容について弁護士に相談するのも一つの方法です。弁護士の法の知識を借りることで、自分が不利益を受ける可能性を減らすことができます。以下に、主なメリットを3点紹介します。

メリット①適切な過失割合を算定できる

虫眼鏡の下に置かれた電卓と紙幣
loufre

免責証書には、証書を作成した保険会社が支払うべき賠償金額が記載されています。しかし、交通事故の被害者の大半は、過失割合の算定方法を知らないため、顧客である加害者に有利な内容の免責証書を作成する可能性が否めません。

こうした場合、弁護士に法律に基づいた適切な過失割合を算定してもらうことで、誤った内容の免責証書に署名してしまう事態を避けることができます。

メリット②適正な賠償金を算定できる

黒い電卓
shotput

過失割合を適正に算定できるということは、それを元にした正確な賠償金額の算定も可能ということです。免責証書を作成する保険会社は、各社が独自に作成した賠償金の計算式を作り、それに基づいて賠償金額を決定しています。

この計算式は、保険会社が支払う賠償金を決定するためのものなので、金額が低く算定される傾向にあります。保険会社から証書が送付されてきたら、同封された示談金計算書を弁護士に見てもらい、法的根拠に則った金額の算定を依頼しましょう。

メリット③後遺症認定のやり直しができる

車いすに乗った男性
klimkin

免責証書に一度署名・捺印してしまうと、交通事故による後遺症が出たとしても、その免責証書の記載内容以上の補償などを受けることができません。また、免責証書を保険会社に返送した後で個別に治療費等を請求しても、非該当として扱われる可能性が高いです。

こうした場合、弁護士に異議申立てや訴訟をしてもらい、症状に見合った後遺障害認定を受けると賠償金が増額される可能性もあります。

出典:後遺障害等級表(国土交通省・自動車総合安全情報)

免責証書の内容をしっかり確認してからサインしよう!

書面にサインする男性の手元
andibreit

免責証書は、交通事故に関する賠償の処理を確定させる重要な書類であることが分かりました。仮に、免責証書に自分に不利益な内容が記載されていたとしても、一度署名・捺印し保険会社が受理すると、記載内容以上の補償を得ることはできません。

そうした不利益を受ける前に、免責証書にサインする前はきちんと内容を読み込みましょう。場合によっては、弁護士のアドバイスを受けることも有効です。

東雲修

この記事のライター

東雲修

世の中の「ちょっと気になること」を日々集めて、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。交通事故での「困った!」が、「分かった!」に変わる助けになれば幸いです。

記載されている内容は※2022年3月4日 10:29:05 ※時点のものです。

現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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