側面に衝突されたときのむちうちの起こり方とは?症状や治療法も解説
側面に衝突されたときのむちうちは、どのように起こるかを解説します。側面から衝突された場合によく見られる症状や、検査内容も説明!また、損傷してからの時期に応じた治療や、むちうちの後遺障害等級認定についても、まとめています。
目次
側面に衝突された場合はどのようにむちうちが起こる?
むちうちは、交通事故に遭ったときに、よく見られる症状のひとつです。事故の状況によって、むちうちの起こり方も異なります。
本記事では、側面から衝突された事故で起こる、むちうちの症状をまとめています。検査内容や治療方法、後遺障害等級認定についても解説するため、チェックしてみてください。
側面に衝突された場合のむちうちの起こり方と症状
むちうちとは?
むちうちは、衝突事故などで受けた衝撃によって、頸部周辺の軟部組織を損傷することで発症します。正式な診断名は「外傷性頚部症候群」または「頚部捻挫」です。
事故直後にむちうちの痛みを感じることは少なく、あとから症状が出てくるケースのほうが多いです。
衝突時、首が前後にムチのようにしなることから、また、乗馬で馬の尻にムチを当てると馬が驚いて前に飛び出し、そのとき頭が後ろに放り出されてその後首の痛みが続くということからむち打ちと呼ばれるようになったようです。
側面に衝突された場合のむちうちの起こり方
むちうちの起こり方は、正面や側面からの衝突、後方からの追突によって異なります。通常、人間の首が動く範囲は、前後ともに60度ほどです。それ以上の範囲で無理に動かすと、首の周辺組織が損傷します。
側面から衝突された場合は、先に衝突側へ首が強く曲がってから、反対側へ傾きます。その際に、頭や顎が肩に触れるまで、側屈することが多いです。しかし、それ以上曲がることはありません。首が動く角度によって損傷の大きさが異なり、重度の場合は脊髄神経が圧迫されることもあります。
むちうちの症状
衝撃を受けた部位や痛みの原因などによって、むちうちの症状は違います。また、被害者の体質や年齢にも関係するでしょう。
側面からの衝突事故では、神経根が腫れたり、引き抜き損傷が起こることも多いです。その場合は、損傷した神経が支配している領域に、影響が出ます。神経根型のむちうち症状は、以下の通りです。
- 【上位頚椎の場合】大後頭神経支配領域の放散痛、神経の圧痛
- 【下位の場合】首・肩・腕にかけての放散痛、しびれ感、上肢の筋力低下など
側面衝突によるむちうちの検査内容と治療法
むちうちになったら整形外科を受診する
側面衝突によって体の痛みや凝りを感じると、整骨院への通院を考える人もいるでしょう。しかし、まずは整形外科で受診することが重要です。
整形外科は医療機関であるため、さまざまな検査を受けることができます。一方、整骨院は医師ではなく柔道整復師による施術が行われ、医療行為はできません。
そのため、整形外科でしっかりと、検査や治療を受けておきましょう。その際に、担当の医師に診断書を、作成してもらってください。診断書は、あとで相手側の保険会社に賠償金を請求するときに、必要になることもあります。
むちうちの検査内容
むちうちの検査には、画像検査と神経学的検査があります。画像検査で代表的なものは、レントゲンやCT、MRIなどです。レントゲン検査は、ほとんどの整形外科で受けることができます。CTやMRIにおいては、機材がない病院もあるため、事前に確認しておきましょう。
神経学的検査には、椎間孔圧迫検査、徒手筋力検査(MMT)、腱反射検査、知覚検査などがあります。むちうちの原因は、画像検査だけでは明確にできないことが多いです。神経学的検査を受けたい場合は、医師に相談してみてください。
①急性期の治療法
急性期は、損傷してから約1ヶ月までの期間をいいます。特にこの時期は、後遺症が残るかどうかを左右する重要な時期です。そのため、頸部などをギプスやカラーなどで固定して、安静にします。
頚椎捻挫の場合は、入院する必要がないケースがほとんどです。ただし、神経根症状や知覚障害などが明確に発症している場合は、入院が必要になる可能性が高いです。
②亜急性期の治療法
亜急性期は1~3ヶ月目の期間をいいます。急性期に安静にしていた影響で、頚椎の可動が低下する可能性が高いです。
そのため、亜急性期では、機能的な回復を目的とする治療を行います。内容は温熱や運動、牽引などの物理療法が主です。温熱療法には、赤外線や低周波などがあります
③慢性期の治療法
慢性期は、損傷してから3ヶ月以降のことをいいます。この時期になると痛みが緩和しており、マッサージなどの手技療法を受けることも可能です。
側面衝突の事故でよく見られる神経根型の場合は、慢性期に脊髄や椎間板の造形検査や手術療法を、行うこともあります。しかし、時期による痛みの程度は個人差があるため、あくまでも目安として認識しておきましょう。
側面衝突によるむちうちが後遺症となった場合の対応
後遺障害等級認定の申請手続きをする
側面衝突によるむちうちが後遺症となった場合は、後遺障害等級認定を申請することができます。ただし、医師に症状固定と診断を受けることが条件です。
また、症状固定と診断されたら、後遺障害診断書の作成を医師に依頼しましょう。なぜなら、申請手続きをする際に、必要になるからです。
後遺障害を認めてもらうためのポイント
後遺障害等級は、申請者が全て認定されるわけではありません。認定されるためには、いくつかのポイントがあります。
まずは、通院を定期的に続けて、きちんと治療を受けておくことです。また、MRI画像は認定するための有用な資料になるため、検査を受けることをおすすめします。
他にも、後遺障害診断書を作成してもらうときは、的確な内容を記入してもらいましょう。そのためには、自分の症状を詳細に医師に伝えておく必要があります。
後遺障害等級が非該当になったときの対処法
後遺障害等級に認定されなかった場合は、後遺症が条件に満たなかったことを意味します。どうしても結果に納得いかなければ、異議の申立てをすることが可能です。他にも、紛争処理制度を利用したり、裁判を起こす方法もあります。
しかし、自分で行うのは、充分な知識がないと困難でしょう。そのような場合は、専門知識を持った弁護士に依頼するのも、ひとつの方法です。
側面衝突によるむちうちは重症化することがある
側面衝突によるむちうちは、引き抜き損傷などが起こると、重症化する可能性もあります。むちうちの症状は、事故直後よりも数日経ってから、痛みやしびれを感じることが多いです。
まずは、整形外科で検査を受けて、痛みの原因や症状に応じた、適正な治療を受けてください。また、後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定の申請も行いましょう。
この記事のライター
宮内直美
最新の情報や疑問に思ったことなど、調べることが好きなフリーライターです。交通事故の防止や対処法に役立つ情報を収集して、分かりやすく執筆します。
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