むちうちでの入院で請求できる損害賠償|慰謝料の相場もあわせて紹介
むちうちで入院しても賠償金はもらえるかを解説します。事故によるむちうちで入院が必要なケースや、保険会社からもらえる賠償金の種類も説明!後遺障害が残った場合の等級認定の申請方法や、慰謝料の相場もまとめているため、参考にしてください。
目次
「むちうちで入院が必要な場合は?」
「むちうちで損害賠償がもらえたケースはあるのかな?」
「むちうちで入院する際の注意点はある?」
このように、むちうちで入院する可能性がある方の中には沢山の不安や疑問があるのではないでしょうか。
本記事では、むちうちで入院が必要な場合について紹介しています。また、むちうちでの入院で請求できる損害賠償の種類についても理解しておきましょう。
この記事を読むことで、むちうちで入院が必要な場合の対処法を知ることができるでしょう。また、むちうちの治療費が打ち切られそうになった時の情報も状況別に知っておくと役立ちます。
むちうちで治療中の方や入院予定の方は、是非この記事を読んでみてください。
むちうちで入院が必要な場合は?
入院が必要になるのは、厳重な安静と特別な治療を集中的に行うため、外来診療だけでは回復できない場合です。しかし、このような条件に該当するむちうちの症状は、滅多にないでしょう。
事故直後の急性期は安静が必要なため、入院をさせたほうが早く回復できると、考える病院もあります。むちうちの急性期は、およそ1~3週間です。それ以上長くなってしまうと、保険会社から入院の必要性を疑問視される可能性が高いです。
むちうちで損害賠償がもらえたケース
むちうちの入院で、賠償金がもらえた事例を紹介しましょう。交通事故後、被害者は病院で受診し、骨折はないものの、頚椎捻挫と腰椎捻挫という診断をされました。一旦帰宅しましたが、しばらくすると全身に強い痛みを感じて、再度病院へ行きます。
その際、医師にすすめられて、1ヶ月ほど入院することになります。この時点で、被害者は保険会社との交渉に自信がなかったため、弁護士に依頼しました。弁護士は被害者が入院している病院へ出向き、今後のアドバイスや、相手側の保険会社への連絡なども代行します。
その後、被害者は通院とリハビリを続けましたが、完全に回復する見込みがありません。治療開始から8ヶ月後に、症状固定と診断されます。後遺症が残ったため、後遺障害等級を申請しました。
等級認定された後、弁護士は加害者側の保険会社と、示談交渉を始めます。受け取ることができた賠償金は、休業補償や後遺障害逸失利益、傷害慰謝料や後遺障害慰謝料などです。
むちうちで入院する際の注意点
むちうちで入院する際は、以下の2点に注意しておきましょう。
事前に保険会社に連絡する
むちうちで入院することが確定したら、まずは加害者側の保険会社へ、連絡をしておくことが重要です。通常、保険会社は、むちうちの症状程度で入院をする必要がないと捉えます。
被害者側は、保険会社が納得できるような説明を、準備しておくことが必要です。保険会社が納得できなければ、入通院慰謝料の支払いを拒否されることがあるため、注意してください。
長期間の入院は避ける
むちうちによる痛みの症状が強い急性期は、医学的な見解で1~3週間になります。それ以上長くなる場合は、保険会社が入院の必要性を認めない可能性も高いです。
場合によっては詐欺行為ではないかと疑われ、事故調査員からの調査を受けることもあるため、注意してください。
むちうちでの入院で請求できる損害賠償
むちうちでの入院で請求できる損害賠償について紹介します。
消極損害
交通事故による怪我が原因で、仕事を休まなければならない場合もあります。消極損害は、交通事故に遭わなければ、休業せずに得ることができた収入分の損害です。消極損害として請求できるのは、休業損害と逸失利益の2種類になります。
休業損害は、入院や通院をするために休業したことで、収入が減額になった分の補償です。逸失利益は、後遺障害が残ったことで、本来得られるはずであった収入の損失に対する補償になります。
積極損害
積極損害は、交通事故に遭ったことで、本来は支払う必要のなかった出費に対しての損害です。被害者の怪我の治療や、それに伴う交通費、雑費などが該当します。積極損害として加害者側に請求できる主な賠償金は、次の通りです。
- 入院費
- 診察費
- 治療費
- 通院交通費
- 付添看護費
慰謝料
慰謝料は交通事故に遭ったことで、被害者が受けた精神的な苦痛を、お金で補償するものです。請求できる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2種類があります。
入通院慰謝料は、入院あるいは通院をすることで生じた、精神的苦痛に対する賠償です。後遺障害慰謝料は、後遺症が残ったことで生じた、精神的苦痛に対する賠償になります。
むちうちの入院でもらえる慰謝料の相場
交通事故による入院でもらえる慰謝料の算定基準は、自賠責基準と任意保険基準、裁判基準の3通りがあります。それぞれの算定基準によって、慰謝料の相場が異なってくるのです。最終的には、相手側の保険会社との示談交渉により、慰謝料の金額が確定されます。
任意保険基準
任意保険基準は、各任意保険会社が独自で定めている基準によって、算定する方法です。詳しい算定方法は、どの保険会社も非公開となっており、相場は不明です。
一般的には、自賠責基準の慰謝料額と同等か少し高いくらいでしょう。
自賠責保険基準
交通事故の被害者を救済するために、最低限の金額で補償をする算定方法です。そのため、3つの算定基準の中で、慰謝料が最も低額になります。
入院でもらえる自賠責基準での慰謝料は、1日につき4,300円です。対象日数は、実際に治療した日数の2倍または治療期間のいずれかで、少ない方の日数を選びます。4,300円に対象日数をかけた数字が、入通院慰謝料の金額となります。
弁護士基準
弁護士基準は、過去の判例に基づく相場額を参考にした算定方法です。弁護士に依頼することで、使用できる可能性が高くなります。慰謝料額は3つの算定方法の中で最も高く、任意保険基準の2~3倍になることもあるでしょう。
算定基準の表には軽傷用と重傷用があり、法的正当性が高いです。むちうちは軽傷用の算定基準法を参考にします。
軽症用 | 重症用 | |
---|---|---|
1ヶ月 | 19万円 | 28万円 |
3ヶ月 | 53万円 | 73万円 |
4ヶ月 | 67万円 | 90万円 |
6ヶ月 | 89万円 | 116万円 |
むちうちで後遺症になった場合は?
むちうちで後遺症になった場合は、後遺障害等級認定を申請できる場合があります。以下で詳細を説明しますので、参考にしてください。
後遺障害等級認定の申請の仕方
等級認定の申請方法は、事前認定と被害者請求の2通りがあります。
事前認定は、加害者側の任意保険会社に、手続きを一任する方法です。被害者は後遺障害診断書を、相手側の保険会社に提出するだけで良いため、手間がかからないメリットがあります。
一方、被害者請求は、被害者が自身で加害者側の自賠責保険会社に対して、手続きを行う方法です。自分で手続きをする手間はかかりますが、等級認定に有用な書類を収集できるメリットがあります。
むちうちで認定が考えられる後遺障害等級
後遺障害等級の認定結果は、後日に通知書で届きます。
むちうちの場合は、14級9号あるいは12級13号に認定される可能性が高いです。14級9号は、他覚所見で証明できず、後遺症の残存を神経学的検査で説明できるケースが該当します。
12級3号は、MRIやCT画像などの他覚所見があり、後遺症が残っていると判断できるケースです。等級によって、後遺障害慰謝料の金額が大きく変わります。そのため、認定された等級にどうしても納得がいかない場合は、異議を申し立てることも可能です。
出典・参照:後遺障害の等級及び限度額 |自動車総合安全情報
むちうちの後遺障害慰謝料の相場
むちうちでの後遺障害慰謝料の相場は、どのくらいでしょうか?自賠責基準と弁護士基準で算定した場合の相場を紹介します。
等級や算定方法によって、金額が異なるのがポイントです。なお、任意保険基準は、各保険会社によって方法が異なり非公開のため、割愛します。
むちうちの治療費が打ち切られることはある?
むちうちの治療は約3ヶ月程度を目安に打ち切りの打診をされる可能性があります。実際にどのように打ち切りされるのか、パターン別に理解しておくと良いでしょう。
医師から打ち切られる場合
医師がむちうちの症状固定と判断した場合は、治療費の打ち切られる場合があります。症状が安定したことを表すため、最短で6ヶ月程度の治療を受けたあたりで打診される可能性があります。
治療費を打ち切られると自費診療になるため、医師とよく相談するようにしましょう。
保険会社から打ち切られる場合
保険会社から治療費打ち切りの打診があった場合は、医師と相談して決めるようにしましょう。
まだ治療が必要な段階なら、打ち切りに応じる必要はありません。それでも打ち切られてしまった場合は、その後は自己負担での治療となります。
むちうちの治療費が打ち切られそうな時の対処法
むちうちの治療費が打ち切られそうになった時は、以下の対処法を行うと良いでしょう。
まだ治療が必要な段階なのに治療費が打ち切りされると、今後の自己負担が大きくなります。慎重に対処するようにしましょう。
保険会社に相談する
基本的に、保険会社はむちうちが症状固定になるまで保険料を支払う必要があります。
保険会社が一方的に症状固定と判断することはできません。そのため、まだ症状固定に至っていないなら、保険会社に現状を相談するようにしましょう。
主治医に相談する
むちうちの治療費が打ち切られそうになったら、まずは主治医に相談してみると良いでしょう。
まだ、治療が必要かどうかを判断できるのは医師です。医師と相談の上、まだ治療が続くと決まれば、保険会社にその旨を連絡しましょう。
健康保険で自費での通院を行う
むちうちの治療費が打ち切りになった場合は、その後の治療は健康保険で自費で通院することができます。全く治療を受けられなくなるわけではないため、自費で通院するのも一つの手でしょう。
弁護士への相談も視野に入れる
治療費打ち切りの交渉などは、専門の弁護士へ相談することを視野に入れておくと良いでしょう。
交通事故やその後の治療対応に詳しい弁護士に相談すると、治療費が打ち切りにならないようサポートしてもらえます。自分で対処できないと感じたら、弁護士へ相談してみましょう。
むちうちの入院で考えられる様々なケースを理解しよう
交通事故でむちうちになった場合、入院しても賠償金を請求することは可能です。ただし、むちうちで入院が必要であることを、保険会社へきちんと説明できなければなりません。また、入院期間が長引くと、保険会社から疑問視をされることもあるため、注意してください。
むちうちの症状が後遺症として残った場合は、後遺障害等級認定の申請をすることも、忘れないようにしましょう。
この記事のライター
ドクター交通事故運営
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